Sustainable Development Goals

Creativity
EventNews

大学の世界展開力強化事業 日-EU戦略的高等教育連携支援プラットフォーム構築事業 シンポジウム「日-EU 国際共同学位プログラムの導入と実践」開催

November 07, 2022
Keio University

2022年10月7日(金)に慶應義塾大学主催・プラットフォーム構築事業シンポジウム「日-EU 国際共同学位プログラムの導入と実践」がオンラインで開催されました。理工学部・小尾晋之介教授が総合司会を務め、日本やEU諸国を含む世界各地から、高等教育関係者を中心に101名が参加しました。

講演内容
1.開会挨拶
土屋大洋 教授(慶應義塾常任理事)
渡辺栄二 氏(文部科学省高等教育局参事官(国際担当))

慶應義塾常任理事(国際担当)の土屋大洋教授による開会挨拶に続き、ご来賓として文部科学省高等教育局参事官(国際担当)の渡辺栄二氏にご挨拶をいただきました。

 

2.セッション ① ジョイント・ディグリープログラムの導入と実践
1)講演「ジョイント・ディグリープログラムの導入と実践」
Mr. David Crosier(欧州委員会教育文化総局:European Education and Culture Executive Agency (EACEA) )

本講演では、欧州委員会教育文化総局のDavid Crosier氏が欧州の視点から国際共同学位プログラム(JDP)について、その経緯や特徴、質保証の考え方について発表されました。具体的には、JDPが「ボローニャ・プロセス」による欧州における一連の高等教育システムの改革ならびに「エラスムス・ムンドゥス計画」によって発展してきたこと、修士プログラムの開発や学生・教職員の流動化促進、質保証の基準開発などの特徴を有していること、さらにJDPを成功に導く条件やJDPと質保証の関連性について説明がありました。

 

2)日-EU間JDPコーディネーターによる実例紹介
Ⅰ. Prof. Valérie Schurdi-Levraud (INRA Bordeaux University)
筑波大学国際連携食料健康科学専攻の紹介

【事例1】GIP-TRIAD
フランス国立農学研究所にも籍を置くボルドー大学のValérie Schurdi-Levraud教授からGIP-TRIADという、ボルドー大学(フランス)および筑波大学(日本)、国立台湾大学(台湾)による大学院共同学位(修士)プログラムについて紹介がありました。同プログラムは、農学と医療科学を融合した国際的かつ分野横断的な2年間のプログラムで、食料と健康という地球規模の課題に取り組む高度職業人を育成することを目指すもの。2017年に開始した同プログラムの設立の背景や修了証の例示、運営上の課題(学事日程の調整、学生募集、単位認定、学費、学生指導など)について発表がありました。

 

Ⅱ. Prof. Dr. Christoph Peters (University of Freiburg)
名古屋大学・フライブルク大学国際連携総合医学専攻の紹介

【事例2】国際連携総合医学研究プログラム
フライブルク大学(ドイツ)のChristoph Peters教授からフライブルク大学と名古屋大学間で実施されている先端医療・先端医学に関する国際共同研究(博士)プログラムについて紹介がありました。同プログラムの具体的内容(留学期間や講義科目/演習・実習科目の単位数、修了要件等)に加え、共同研究分野や成果の紹介、さらには現在名古屋大学からの留学生が取り組む「発がん性肉腫の免疫研究」「卵巣がん研究」の概要と研究体制について報告がありました。また、現在構想中の「国際研究トレーニンググループ(IRTG:International Research Training Group)」についても言及されました。

 

3)ディスカッション
モデレーター:
小尾晋之介 教授(慶應義塾大学)
パネリスト:
Mr. David Crosier
Prof. Valérie Schurdi-Levraud
Prof. Dr. Christoph Peters
粕谷英樹 教授 (名古屋大学、全国大学ジョイント・ディグリープログラム協議会)

ディスカッションでは、小尾晋之介教授(慶應義塾大学)がモデレーターを務め、粕谷英樹教授(名古屋大学)がセッション1の講演を受け、JDPを実施する上でのキーワードとして、柔軟性(Flexibility)ならびに大学間の信頼性(Trust)が重要であると認識を示しました。奨学金制度ならびにプログラム実施の財源も重要であるとし、GIP-TRIADの例が紹介されました。

 

3.セッション ② 日-EU 国際共同学位プログラムの質保証について
1)講演
Mrs. Sophie Guillet (High Council for Evaluation of Research and Higher Education (HCERES) )

本講演では、フランスの「研究・高等教育評価高等審議会」(HCERES:High Council for Evaluation of Research and Higher Education)のSophie Guillet氏が国際共同学位プログラムの質保証をテーマに発表されました。まず、欧州地域における高等教育の質保証に関するガイドライン(ESG:European Standards and Guidelines for Quality Assurance in the European Higher Education Area)とそれに準拠するHCERESの質保証についての内容とその目的について報告。さらに、具体的な評価プロセスや評価基準について一歩踏み込んだ内容の説明がありました。

 

2)ディスカッション
モデレーター:
小尾晋之介 教授(慶應義塾大学)
パネリスト:
Mrs. Sophie Guillet(HCERES)
Prof. Balázs Trencsényi(Central European University)HIPS
篠原琢 教授(東京外国語大学)HIPS
中内茂樹 教授(豊橋技術科学大学)IMLEX
Prof. Vincent Fremont (Ecole Centrale de Nantes (ECN)) JEMARO
三木則尚 教授(慶應義塾大学)JEMARO

ディスカッションでは、小尾晋之介教授(慶應義塾大学)がモデレーターを務め、大学の世界展開力強化事業(EU)日-EU戦略的高等教育連携支援に採択された3プログラム(HIPS、IMLEX、JEMARO)の関係者を迎え、国際共同学位プログラムの実施と質保証について議論が行われました。日欧の大学間の違い(理念や教育方法、運営資金等)、評価や質保証についての課題(カリキュラム/プログラム開発や単位認定等)をどう乗り越えていくか、さらには日本の大学から欧州地域の高等教育の質保証へどのようにアプローチできるかといった質疑など、活発な意見交換が行われました。

Event Date2022/10/07
       

ギャラリー