慶應義塾

単位取得だけの勉強や知識の受動的な習得とは異なる「学び」 ―新しい人間関係や自分を作ることのできる場所です

研究プロジェクトを履修しようと思ったきっかけは?

「きっかけはそれぞれ。何かやらなきゃいけないと感じている人が多い。」

履修のきっかけは人によって全くバラバラです。面白そうだな、となんとなく履修してみた人間もいれば、希望するゼミに入れなかった人、逆にゼミだけでは論文を書く環境として物足りなくて履修している人と、本当に様々。  

私たちは経済学部に入って勉強してきたけれど、その中でだんだんと学びたいことが変化してきました。学部の提供するゼミに自分が当てはまらないと感じる人、他にも勉強したいことがあると悩みを抱えている人は、どの学年にも、そして他の学部でもいると思います。  

皆に共通していることは、何かに挑戦したい、何かやらなきゃと感じているということです。研究プロジェクトであれば、その気持ちに応えてくれると期待して履修しているのではないでしょうか。

大変だと感じたことは?

「全部ひとりでやる、一本の論文を書く、ということの大変さを知った。」

全部独力でやらなければいけないということは本当に大変です。研究プロジェクトは一人の先生に学生は多くても三人程度。先生にじっくり相談できることはとても恵まれた環境ではあるのですが、一方で全く手が抜けません。同じ先生に指導を受けていても、全く違う研究であることもあり、普通の授業やゼミのように友人同士でレポートやテストでどのくらい深く勉強したらいいのかというようなポイントを共有したり、スケジュールを確認したりということを、全部自分で判断しなくてはいけません。

特に、一本の論文を書くことの大変さを知りました。レポートを書くために教科書に目を通すことと、論文を書くために文献を読むことは全く違いました。とにかく最初の頃は読むことが嫌でしょうがなかった。先生に読んだかどうかを聞かれても目を通しましたと応えて誤魔化していたくらいです。こんなにも「本を読む」ということに苦労するとは予想していませんでした。一方で、毎日重たい文献を持ち歩いたり、本屋や図書館で文献を探す生活に、読んでいるかどうかはともかく、自分は勉強しているぞと、優越感を持ったりもしましたけれど。でも、そういう生活も自分たちには必要だったと今は感じています。

研究プロジェクトを履修してどのようなことを得ることができたか?

「大学で先生とこんなに話ができるのも研究プロジェクトの魅力。」

先生とのコミュニケーションが密になるので、特に卒論や大学院の院試を控えている人にとって、研究プロジェクトで論文執筆が経験できたことはとても大きいと思います。いざ書かなくてはならない状況になったとき、論文の書き方、文章の組み立て方など、研究内容以前のところで分からないことやつまずくことがあります。そんなときに、大教室の授業を担当している話をしたこともない先生にはとても質問ができないし、ゼミにしても人数が多く、自分のために先生が割ける時間が限られていて研究内容のことを聞くだけで精一杯です。初歩的なことを聞くことはなかなかできません。

でも、研究プロジェクトは一週間に一度、先生とほぼ一対一で数時間に渡って話ができます。先生と徹底的に話をして、疑問や悩みは全て解消する。やりたいと思った研究に取り組む。これだけ恵まれた環境で学ぶことができることはないですね。

これから研究プロジェクトを履修する学生へ、先輩としてアドバイス

「何かやりたいことがある人はもちろん、やりたいことが明確になっていない人にも。」

何かやりたいことがある人、挑戦してみたいことがある人はぜひ履修すべきだと思います。プロフェッショナル(先生)が、自分たちの研究したいことをバックアップしてくれるのですから、絶対に伸びます。また一方、経済学部でやりたいことが見つからない人こそ、挑戦する価値があるとも思います。研究プロジェクトは勉強のための勉強。違う分野を学ぶことで視野が広がるし、論文の書き方も学べる。簡単に単位がもらえると思って挑戦できる内容ではないけれど、何かしなくてはいけない、そう感じているのであれば、きっと成長できると思います。

研究プロジェクトに参加した体験を今後に生かすことはできるか?

「ここで得た達成感と自信はこれからどんなフィールドにも通じると感じる。」

たとえば、経済学部のゼミに入って専門性を高めることももちろん大切です。ですが、そうするとどうしても先生も所属する学生も同じ方向性、同じ見方の人間が集まります。けれど、研究プロジェクトでは基本的には一人。自分自身が興味のあるジャンルについて突き詰めて研究をしなくてはいけない。そして研究発表会の場などでは、全く違う研究内容の発表を聞き、ディスカッションをすることで、知らなかった世界や自分とは違うものの見方を知ることができました。研究プロジェクトで一年学んだこと、論文を書き上げたことで得られた達成感と自信は、この先のゼミでの卒業論文、大学院、就職活動、どんな場所でも活かされると思います。

(2009年2月4日取材)