執筆者プロフィール
渡辺 有貴(わたなべ ゆき)
マタニティリープ共同代表国際コーチング連盟(ICF)マスター認定コーチ(MCC)総合政策学部 卒業経営管理研究科 卒業1998総、2000経管修
渡辺 有貴(わたなべ ゆき)
マタニティリープ共同代表国際コーチング連盟(ICF)マスター認定コーチ(MCC)総合政策学部 卒業経営管理研究科 卒業1998総、2000経管修
「このままでいいのだろうか」。妊娠・出産・子育てという大きな転機の度、立ち上がるその問いに、私は何度も足を止めてきました。思うようにいかない現実と言葉にならない違和感。その揺らぎの中で気づいたのは、混沌は乗り越えるものではなく、「どう生きたいのか」という本音に触れる入口だということでした。
いま私は、「マタニティを飛躍の機会に」を合言葉に、「マタニティリープ」という活動に取り組んでいます。ここでいうマタニティ期とは、妊娠・出産・子育てに限らず、それが起こりうる人生の時間そのもの。この時期に生まれる迷いや葛藤を問題として処理するのではなく、生き方やキャリアを編み直す契機として捉え直す。揺らぎの中にこそ、次の1歩を選び取る力が宿ると考えています。
慶應義塾では「人はどう生きるのか」という問いを軸に、社会の仕組みを探究してきました。企業の新規事業に関わる中で、外側の構造だけでなく、1人ひとりの選択や在り方こそが社会を形づくるという実感が深まっていきました。その転機となったのが、Co-Active®コーチングとの出会いです。対話を通じて自分の内側にある答えに気づいていくこのアプローチによって、私の視点は、「正解を探す」から「自分の声を信頼する」に変わり、マタニティリープを支える土台となっています。
3人の出産と子育てを経験する中で、もう1つ確信したことがあります。母親の悩みとされる葛藤の多くが、実は社会構造や無意識の規範と結びついているということです。個人の問題に見えるものの背後には、制度や文化がある。だからこそ、その声を安心して言葉にできる場が必要だと感じました。
2020年に立ち上げた「マタニティリープ」は、そのための対話の場であり、コンセプトです。混沌の中の違和感をすくい上げ、悩みを飛躍の種として捉え直し、自らの人生を選び取るプロセスを育んできました。書籍『ママのためのリープデザインブック』は、日本出版クラブ「ジェンダーと読書」にも選書されました。
現在は企業や自治体と連携したワークショップに加え、「リープガイド実践講座」を通じて伴走者の育成にも取り組んでいます。揺らぎの中に立ち上がる問いは、個人にとどまらず社会を更新する力を持つ。その声から始まる選択の連なりが、これからの社会を編み直すと信じています。
※所属・職名等は本誌発刊当時のものです。